組合概要
名称 | 東京洋装協同組合 |
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設⽴ | 昭和29年2⽉26⽇ |
代表理事 | 川村 行雄 |
事業内容 |
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理事長メッセージ: 組合設立60周年に思うこと
東京洋装協同組合 理事長 川村 行雄(東京中央会 理事)
私は、所謂、団塊の世代で戦後の高度成長期とともに青春時代を過ごしてきた感があります。高校時代は体が大きかったこともあり、緑あって相撲部に入部しました。後輩の中には、若貴兄弟をはじめ大相撲力士を何人か出した全国的にも強豪校だったので相撲部の稽古はとにかく毎日厳しいものでした。今になって思い返すと相撲で心身共に相当鍛えられたことが、後々になって自分の役に立ったのだと思います。
学生時代は、大学紛争のまっただ中で満足な勉強も出来なかった気がしますが、大学卒業後は、父親の事業を引き継いで縫製業の世界に入りました。昭和40年代頃といえば品物を作って売ることで商売がどんどん伸びたという古き良き時代でしたので、私たちの業界だけでなく世の中も大変活気に満ちていたと思います。
私が理事長を務める東京洋装協同組合は、昭和28年に設立されました。設立の直前の時代背景として、戦後の混乱期が終わり復興に向けて歩み始めた昭和25年に繊維製品の配給制度が解除され、折からの朝鮮戦争特需で繊維業界では糸偏(いとへん)景気と呼ばれる好況で盛り上がりを見せていました。各地では同業者の親陸組織を作ろうという機運が高まり、こうした動きの中で、私たちの組合が設立されました。
その頃の縫製業界では、オーダー物が多かったようですが、徐々に婦人既製服の需要が拡大するにつれて労働力不足となりました。これを受けて組合は東北地方を中心に集団求人活動を強力に推進し、昭和35年~昭和59年までの25年間で約4千人の若人を東京の事業所に就職させました。昭和34年には認定職業訓練校を開校し、組合員が講師として教壇に立ち、昭和61年までの間に修了生は4,695名を数え、国家検定1、2級合格者も950余名を輩出しました。こうした取り組みで、人材育成を通じた次世代への技能継承の礎を築くことができました。
その後、オイルショックなどの景気変動の影響を受け、さらに消費者マインドの変化、生産コストの増大により組合員の工場経営が圧迫された結果、倒産や転廃業により組合員も減少しました。また、新たな工場立地や労働力を求めて、東京を離れ東北方面に工場を設置する組合員も出てきて、組合運営に対する意識も薄れていったのも時代の流れだったのかもしれません。
平成に入り、活路開拓事業の一環で自主企画商品の開発に取り組んでいた矢先の平成14年に近所からの出火による貰い火で組合会館の全焼という災害に見舞われました。しかし、この組合の危機に際して、組合員全員が一致団結し、早くも翌年には新会館の建設落成を果たしたのです。
平成16年から外国人技能実習生の受け入れ事業を展開し、組合員の経営の安定化や拡大に努めました。ちなみに中国から延べ120名の技能実習生を受け入れ、組合と組合員にとっても組織拡大や財政安定に繋がりました。
こうした変遷を経て、このたび組合設立60周年を迎え記念式典を開催することができました。業界を取り巻く環境を見渡すと、より複雑なデザイン、素材使い、工程の難しい製品作りが求められる中、加工賃は年々下落しており、その一方で、最低賃金は毎年引き上げられています。さらに、社会保険の事業主負担の増加、目前に迫る消費税率の引き上げなど、縫製工場の経営は一層厳しさを増しています。
実は私の会社も東日本大震災による原発事故の影響で福島にある自社工場の閉鎖を余儀なくされました。長年に亘り地元の従業員の皆さんと力を合わせて操業してきた工場だっただけに大変残念でなりません。しかし、立ち止まっているわけにはいきません。理事長として、苦しいながらも前向きに組合運営に取り組んでいます。思い返すと、こうして心身共に頑張れるのも、若いときに相撲で鍛錬したおかげなのかもしれません。厳しい稽古をつけてくれた恩師には感謝しています。今でも、自宅のある池袋から母校のある東中野までの往復2時間のウォーキングで汗を流すのが日課となっており、積極的な気持を保つ原動力となっています。
困難、苦境に組合としてどう立ち向かうか、組合員の望む事業は何か、業界の維持発展や技術・技能の伝承はどうなるのか、日本の縫製業界はどうなるのか、日々葛藤しながらも、組合運営を全うして前進するしかありません。一つ言えることは、私たちの先人や先輩が築き上げたこの組合を次の世代に連綿として引き継いで行くことこそが、組合員ひいては業界の発展に繋がるということです。危機的な時だからこそ、60周年の節目に組合の基本である「相互扶助の精神」のもと組合員が一致団結して邁進するしか道はないのだと思っています。
(中小企業だより2013.7に掲載)