組合概要
名称 | 東京洋装協同組合 |
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設⽴ | 昭和29年2⽉26⽇ |
代表理事 | 菅谷 智 |
事業内容 |
○組合員の取り扱う婦人子供服縫製加工用消耗品の共同購買 |
理事長挨拶
東京洋装協同組合 代表理事 菅谷 智
東京洋装協同組合は、戦後の混乱期が終わり復興に歩み始めた昭和25年繊維製品の配給制度が解除され、折からの朝鮮戦争特需でガチャマン景気と呼ばれ好況で盛り上がりを見せていた昭和28年に設立されました。
その頃、婦人既製服の需要が拡大するにつれて労働者不足が顕在化し、東北地方を中心に集団求人活動を強力に推進し、昭和59年までの25年間で約4千人の若人を組合の事業所に就職させました。昭和34年には認定職業訓練校を開校し、組合員が講師として教壇に立ち、国家検定1・2級合格者950名を輩出し、次世代への技能継承の礎を築くことができました。
その後バブル崩壊によって始まった平成不況の影響を受け、消費マインドの変化、生産コストの増大により工場経営が圧迫され、倒産や転廃業により組合員も大幅に減少、東京に本社機能残し労働力を求めて東北地方に工場を立地する組合員も出てきて、組合運営に対する意識も薄れていったのも時代の流れだったかもしれません。
平成に入り近所からの出火による貰い火で組合会館が全焼という災害に見舞われましたが、危機に対して組合員全員が一致団結し翌年には新会館を落成しました。
平成16年から外国人研修生の受け入れ事業を開始し、その後の技能実習生受け入れとなって組合員の経営の安定化や拡大に努め組合にとっても組織拡大や財政の安定に繋がりました。
我が国は少子高齢化が進み人口減少の時代に突入しています。これに伴い労働人口も減少しています。このままで進むと40年後には労働人口が4割減少されることが予測されています。特に中小企業では人手不足が深刻化しており経済・社会基盤の持続的可能性を阻害する可能性が出てきています。令和元年4月に設けられた在留資格である特定技能は、生産性向上や人材確保の取組を行ってもなお人材の確保が困難な状況にある縫製分野においても条件付きで令和7年に認められました。
業界を取巻く環境は、より複雑なデザイン、素材使い、工程の難しい製品づくりが求められています。特に加工賃等値上げが難しい中、最低賃金は毎年大幅に引き上げられています。社会保険、労働保険の事業主負担の増加など縫製工場の経営は一段と厳しさを増しています。
組合として困難な時代にどう立ち向うか、組合員の望む事業は何か、縫製業界はどうなるか日々葛藤しながら組合運営をおこなっていくしかありません。私たち先輩が築きあげた組合を次の世代に連綿として引き継いでいくことこそが組合員ひいては業界の発展に繋がることと考えています。協同組合の精神である「公的援助」「自助努力」「相互扶助」の3つの助けを基本に組合員が一致団結してまい進してまいります。
東京の縫製工場の今後
東京の縫製産地はアパレル企業の下請け工場として都内の墨田・葛飾・江東・江戸川区等を中心に隆盛を極めています。
製造業に共通する問題ではありますが、縫製業の場合は、その対応の選択肢があまりにも狭く困難な課題が多い。それはアパレル企業から要請される「モノ」づくりの加工はできても「もの」づくり必要なパターン設計や加工仕様の善し悪しを点検評価し、それを素材特性に対応し適正な修正や要尺研究そして工程分析による製造原価で製造する仕組み等が任されないことにある。自主的経営が展開できる製造基盤が構築されないまま、現場の改善と努力によって収益を追求してきた。
人手不足下での経営環境は、構造的な変化に直面しております。縫製業が期待されている役割を果たしていくためには、会社の特性や個性を発揮し、時代を切り開らいていくゴーイングコンサーン(事業を永続させるための仕組み)を目指すべきである。これは企業にとっても環境や社会、規制に対し配慮していくことが利益を生むという新しい時代に移っていく手段です。SDGsやESG(環境問題への取組・E、人権問題への配慮・S、健全な企業統治・G、の3つの側面を重視し財務情報だけでなくこれらの非財務情報も考慮することで企業は中長期的な価値向上目指す経営と言われています。このことに気づき自発的に取り込まなければ自社が生き残れないことに気付いた経営者がいます。
東京都の㈱T社や千葉県のN社は、持続可能な環境(SDGs)を具体化したものとして、売上を増やす為、綿100%製品をリサイクルし新たな綿布にして自社ブランド化して、SDGsに則した調達基準を設定している企業などを対象に、自社の環境負荷の取組をPRして新規顧客の開拓に成功している。SDGsやESGに取組むメリットは、取引先や消費者からの支持を集めることができるからである。